<< ◆ 第1章 カスタマイズのまえに ◆ >>


 定義ファイルのカスタマイズ講座も、ハッチングを残すのみとなりました。ハッチングの基本は線種やシェイプと同じですから、内容が重複したり比較することがありますが、カスタム線種入門やオリジナルシェイプ入門を参照すれば理解しやすいと思います。
 ハッチングは、断面を表す斜線からデザインを補うものまで、アイデア次第では無限のライブラリを作成することが可能です。

 ハッチングパターンを作成することは、AutoCADのヘルプですら、
「ハッチングパターン定義を開発するには、知識と経験と努力が必要です。
 ハッチングをカスタマイズするにはハッチングパターンに精通している必要があるため、初めてのユーザにはお勧めしません。」
 ・・・と記述されていますが、決してそのようなことはありません。

 線種とハッチングは、シェイプの様にコンパイルを必要としないのでレギュラー版やLT版ユーザーに関係なく、誰にでもカスタマイズすることが出来ます。

(1)単位はISO?ANSI?

 ハッチングは、Autodesk社が提供する「定義済みパターン」と、ユーザーが作成する「ユーザー定義」と「カスタム」の三つのタイプに分けられます。

 「定義済みパターン」は、境界ハッチングコマンドのハッチングパターンパレットでプレビュー選択することが出来ます。

 デフォルトの「定義済みパターン」は、インチ用の「acad.pat(LTはaclt.pat)」とメートル用の「acadiso.pat(LTはacltiso.pat)」の2種類が「サポートファイルの検索パス」内にあります。ハッチング定義ファイルの拡張子は「.pat」になっています。

 ここで注意しなければならないのは、ハッチングパターンパレットの「ANSI」にインチ用を、「ISO」にメートル用を使い分けているのではないと言うことです。
 メートル用はインチ用を25.4倍したものになっていて、どちらにも同名のパターンが定義されています。(ただし、ISOパターンは共通になっています)

 線種定義ファイルとの違いは、ロードが無い為にメートル設定の図面にインチ用のパターン(あるいはその逆)を使用出来ません。インチ用とメートル用の使い分けは、システム変数[measurement]に従って決められます。

  ◆ワンポイント◆
 ハッチングパターンパレットの「ANSI」と「ISO」は、ハッチングパターン名の頭に「ANSI」「ISO」を追記することで使い分けが可能になります。

(2)自分の環境に合ったものを使いたい

 ハッチングパターンを使いこなすには設定(システム変数)を駆使する必要があり、ハッチングが苦手なユーザーは少なくありません。

 デフォルトのパターンには境界を選択しても、適切な尺度を指定しなければエラーになるものが含まれています。

 環境に合っていないハッチングは、オペレーターに余計な作業やストレスが生じてしまいます。

 ハッチングは、環境や目的によって作成する必要があります。
オンスケールで使用する
 オンスケールで作成しておけば、デザインセンターからドラッグアンドドロップでハッチングを作図することが出来ます。
尺度を係数で使用する
 レンガやタイルの様に、辺の比が同じでも辺の長さが異なる場合には、「辺=1」で作成しておけば「長さ=尺度」とすることが出来ます。
尺度を図面尺度で使用する
 ハッチングには「ハッチング尺度=図面尺度あるいは寸法スタイル尺度」といった、グローバル線種尺度[ltscale]のようなシステム変数はありませんが、断面を表す斜線のピッチの様に、異なる図面尺度でも印刷時に同じピッチに揃えたいものは「図面尺度=1」で作成します。
 デフォルトの「定義済みパターン」は、これらが混在しています。それぞれのパターンがどのような使い方を前提としているのかを理解すれば、自分の環境に合ったハッチングパターンへの近道になると思います。

(3)ユーザ定義とカスタム

 オリジナルハッチングパターンをユーザーが作成する方法には、「ユーザ定義」と「カスタム」があります。

 「ユーザ定義」は、斜線や格子のハッチングを作成することが出来ますが、複雑な図形を作成することは出来ません。ここでは「カスタム」による定義パターン作成の手順を紹介します。

 レギュラー版のエクスプレスツールには、ブロックやイメージをハッチングとして扱うことの出来る[superhatch]コマンドがあります。


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